市川家由縁の歌舞伎十八番に列せられる演目で、

原題「雷神不動北山桜」の三段目の演目である。

鳴神上人は、寺院建立を約束に

皇子誕生の祈祷を行い、これを成功させる。

しかし、時の天皇が約束を破ったために、呪術を用いて、

雨降らしの竜神を滝つぼに封印させてしまう。

これにより、国中が干ばつに襲われ、民百姓が困ると、

天皇は女色で上人の呪術を破ろうと、

内裏一の美人・雲の絶間姫を上人の元に送り込む。

雲の絶間姫の、手練主管に上人は思わずその身体に触れ、

ついに戒律を犯すばかりか、酒に酔いつぶれ、眠ってしまう。

姫により、滝つぼより放たれた竜神により、大雨が降る。

だまされたと悟った上人は烈火のごとく怒り出し、

髪は逆立ち衣装は炎の模様になり、雷神「鳴神」になり、姫を追う。

山車では、密教の道具・五鈷をくわえ、

見得を切る鳴神の姿を再現したものである。

内裏一の美貌を誇る雲の絶間姫は、帝の勅命により鳴神上人を

かどわかすことになり、これを成功させ、鳴神上人を酔いつぶすことに

成功する。鳴神上人が酔いつぶれた後、滝つぼに封印された竜神を

解き放つと、とたんに辺りは雨が降り、長く続いた干ばつから

開放されるのであった。

本年の山車では、鳴神上人を酔いつぶし、竜神を解き放つ

雲の絶間姫の姿を再現している。